『負けない想い』




あーもうなんで。
一軍で、練習始まって。

クリス先輩に断られてしょうがなく御幸先輩に受けてもらおうと思ったのに。
なんか降谷までいるし。

「なぁあっ! 俺が御幸先輩に受けてもらうのっ! お前はどっか行け」
「別に、俺も受けてもらうし」

なんかもう、こいつイヤっ。

いっつもいっつも。
御幸先輩取られるんですけど。

「そんだけ元気なら大丈夫だよな。とりあえず風呂入ってから俺の部屋に来い」

もしかしたら…っつーかかなりの確率でまた断られるかなとは思ってたけど。
予想外に部屋に誘われるし。
どういうことですか。
しかも、風呂入ってから?
投げるのに?

なんか違うこととか考えちゃうだろ。
でも降谷も?

部屋でミーティング?
怒られるとか?

いやいや、そんな心配じゃなくて。
夜に御幸先輩に部屋誘われるなんて。
変にドキドキするし。

しかも、よく見たら御幸先輩風呂上り。
帽子じゃない。
なんか違う。前髪あるし。

かわいいような。
かっこいいような。

つい、その姿に見入って。
その後、御幸先輩の後ろ姿を見送って。

気付けば俺とまったく同じような行動をしている降谷が隣にいたりして。

「な…にお前、御幸先輩眺めすぎだろっ!」
「別に」
「まぁいいけどっ。風呂入りに行くか」

そうだよ。
降谷だって、もっと御幸先輩に『なんでですか』とか聞けばいいのに。
なぁに素直に無言で受け入れてんだか。

俺と同じ?
見とれてた?

風呂上りの御幸先輩にさ。

あぁ。俺、馬鹿か。



結局、降谷と一緒に行った御幸先輩の部屋。
伊佐敷先輩、結城先輩、倉持先輩……。
たくさんいるんですけど。

ねぇ、御幸先輩、どういうつもりですか。

降谷一緒とはいえ、ちょっと嬉しかったのに。

ま…まぁいいんだけど。

「毎日、俺の部屋に集まられて困ってんだ」
気付いてないわけじゃないんでしょ。
どうして集まってくるかって。
別にただ、都合がいい場所だからとかそんなんじゃないって。
絶対。

なんとなくみんな御幸先輩のこと求めちゃってるんでしょ。
俺もその一人で。
ほら、現に降谷と俺は、2人で御幸先輩に受けてもらいたくて来たわけだし。

倉持先輩は中田先輩とゲームしてるだけかもしんないけど。
それだったら俺らの部屋でもよくない?

なのにわざわざココでって。

休みたいだろう俺に気を使って部屋を空けてくれたとか?
いやいや、倉持先輩に限ってそんな優しい考えはないでしょ。
ほら。
御幸先輩の部屋に行きたいからだって。

御幸先輩って、大人気なんだなぁ。

そう思ったとき、なんかちょっと寂しいような気がした。

俺はこの人のこと追いかけて来た。
この人がきっかけでココにいて。
この人をずっと見てて。
仲間を裏切って。

でも、御幸先輩の魅力ってのは、俺だけが知ってるものじゃなくって、みんなももちろん知ってて。

あー、こう生まれ持ってモテる男って冷たいんだよな。
そんな俺の心情なんて知らないでしょ。

もちろん、冷たいだなんて本人はわかってないだろうし?

こっちが勝手に、好意を持って一方的に押し付けてる感情だから。

そう。
この冷たく感じる対応は当たり前の行動。
好きだからさ。
みんなと一緒とかは、酷いなって感じちゃうんだよ。
俺だけを誘ってよって、我侭なこと思っちゃうんだって。

本当の所、みんながどう考えてるのかはわかんないけど。
でも、惹かれるものは絶対あって、ここに集まってるんだろうし。

いつも降谷ばっかずるいよね。
みんなも部屋に来ちゃってさ。

どういうつもりなんだか。
けど、俺の方が…。

俺が一番、御幸先輩のこと考えてますから。