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「というわけで、よろしく頼む。ハボック少尉」 どういうわけか。 まぁ、大佐にパシられるのはいつものことだけど。 エドワードが、大佐の部屋に鞄を忘れていったらしい。 それを俺に届けろと。 自分で行ったらどうなんだ? 仕事を抜けるいい言い訳になるじゃないか。 まぁ、抜けられたら俺も困るけれど。 宅急便で届けられるほど、一定場所に滞在していないし。 「…待ってたら、向こうから取りに来るんじゃないっすかね」 「それほど、重要なモノが入っている鞄とも思えん」 それを俺に届けろと。 「…まぁ…いいですけど…」 大佐は、なぜ自分からエドワードと会う機会を減らすようなことをするのだろうか。 そう考えたとき浮かんだのが、エドワードといつも行動を共にしている弟のアルフォンスだった。 あぁ。 なるほど。 大佐は、エドワードのことを好きで、エドワードもたぶん大佐が好きで。 2人の関係はなんとなくわかっていた。 アルフォンスも、あれだけ身近にいれば、それに気づいているはず。 あまりにも、エドワードと大佐が馴れ合う姿をアルフォンスに晒すのは心苦しいのだろう。 きっと、アルフォンスは構わないと言うだろうけれど。 エドワードは弟に気を使って。 大佐も、そういう状況は把握しているに決まっている。 「じゃ。ちょっと行ってきます」 俺は、エルリック兄弟が休養する部屋へと、足を向けた。 「元気してるか? 大将」 景気よくドアを開けた先に見えたのは、大きな鎧。 アルフォンスだった。 人差し指を口の前に立て『シーっ』と。 部屋を見渡すと、ベッドに上に寝転がるエドワードの姿が視界に入った。 まだ寝るには早い時間。 夕暮れ時。 疲れでも溜まっているのだろう。 熟睡している様子が伺えた。 「鞄を届けにきた」 アルフォンスへと、持ってきた鞄を手渡す。 「兄さんの…。どこにあったんですか?」 どこに。 「……まぁ…大佐の部屋に…」 嘘をつくのが苦手だ。 すぐにでもバレてしまいそうだから。 この子に。 エドワードのことで、隠し事なんて出来そうになかった。 「あぁ。昨日、行ったときの…」 ほら。 ちゃんと知っている。 どんな気持ちで、大佐の部屋へと向かう兄を見送るのだろう。 兄を取られたという嫉妬心や、疎外感みたいなものを感じたりするのだろうか。 「わざわざありがとうございます」 「いや。仕事抜けれるいい言い訳になったし。こうやって2人に会えたわけだし」 俺は、ベッドへと歩みより、しゃがみこんでエドワードを見下ろした。 「…大佐が来た方が、歓迎されたかもしれないけど」 つい、そう付け足してしまっていた。 どうして、こんなこと、口走ったのだろう。 自分は歓迎されない立場の人間なんじゃないかと思うと、妬みに近い感情が生まれたのかもしれない。 誰かに、わかってもらいたくて。 ここにいる、体の大きな、小さな少年に。 そう伝えていた。 「そんなこと…っ」 ほら。 やっぱり。 君は期待通りに、否定の言葉をくれる。 こんな小さな少年の一言で、こんなにも癒される。 ただの社交辞令。 誰だって、同じように言ってくれるだろう。 俺は、大佐よりも劣った人間で、それはわかりきったことだった。 大佐ならば歓迎される。 俺はそれほどまでに歓迎されない人間で。 それを否定してもらえたことで、心が救われる気がする。 「ありがとな」 社交辞令だとわかっていてもうれしいものだ。 「いえっ、ホントにっ…」 アルフォンスが、少し言いとどまって。 「…少し、ホっとしたんです」 そう告げた。 「……ホっとした…?」 自分で少しだけ、その言葉の意味を考えたが、わからず本人に聞き返す。 「…この鞄…。兄さんは、どこに置いてきたか覚えてないって言ったけれど、たぶん、大佐のところだなって、わかっててそう言ったんだと思うんです。僕も、そう思ったし…。 別になければないでものすごく困るわけじゃないけれど、それでもやっぱり、大佐のところにずっと置いておくわけにもいかないし。次、また兄さんが行ったときでもいいんですけどね。大佐ならきっと、その前に持って来てくれるんじゃないかって。そう思ったんです」 確かに。 実際、昨日の今日で、もう鞄はエドの元へと戻ってきている。 だが、それと『ホっとした』のと。 どこから繋がるのか。 アルフォンスの方を見ると、慌てたように言葉を続けた。 「っだからその…兄さんはどう思っていたかわからないけれど…今日あたり大佐がもしかしたら来るんじゃないかって思ったりしてたんです」 まるで、催促でもするかのように、見てしまった自分が嫌な大人に思えた。 それでも、アルフォンスはなんでもないように、話し続けてくれていた。 「僕の方は…大佐が来たらどう対応すればいいのかわからないし…。普段、外で会うときは、大佐も兄さんも、なんでもないフリをしてくれるからいいんですけど…こういう部屋に来てくれたときは、やっぱりちょっと違うから…」 そんなに2人は普段から会えるような環境にいない。 公衆の面前でもない場所で会ったら、恋人同士独特の雰囲気になるってもんだろう。 「まぁ…そうだな…」 「もしかしたら、兄さん、大佐が来るかもしれないって思ってて…それで気を使って寝ちゃってるのかもしれないし」 寝てる間に、弟が鞄を受け取って置いてくれればって…? 「ずいぶん、弟思いな兄貴だな」 「そこまで気を使われると申し訳ないんだけどね…。大佐が来て、兄さんが寝てたら、それもまた申し訳ない気がするし…」 「難しいのな。それで、鞄を届けに来たのが俺で、ホっとしたってわけか」 少しだけ、躊躇するようにして、そっと頷いた。 「そうだな…。気を使われすぎると逆に、心苦しかったりするもんだよな…」 「っあと…それだけじゃなくて…。なんていうか、ハボック少尉は、僕と同じで…。兄さんと大佐のこと、知ってるから…ちょっと親近感わいたりして…」 なるほど。 確かに。 2人の関係を知っているのは、俺とアルフォンスと。 ホークアイ中尉も、感づいているかもしれないが。 エドワードと大佐のことで、話せるのはアルフォンスしかいないと思うし。 別に、これといって2人のことでなにか話があるわけではないのだが、妙な親近感がわく。 「そうだな。俺も、アルフォンスとは環境近いし、なんつーか気楽でいいよ」 「っほんと…ですか…?」 確かに本当のことを言った。 けれども、それほどまでに考えもせず、口から出た言葉だった。 それに対してアルフォンスは、ものすごく喜んでくれてるみたいな声を出す。 「……あぁ…」 俺の言葉ひとつで、こんなにも。 この子は、喜んだりしてくれるのか。 声だけでしか判断できないけれど。 声って、あまり嘘をつけないものだと思うから。 嬉しい。 素直に、この子のひとつひとつの言葉が、俺の気持ちを落ち着かせていた。 「にしても…エドもよくやるよな。あの大佐とさ」 大佐のすごさは俺もよく知っている。 かっこよくて。 あの年で、大佐の仕事をこなして。 すごいとは思っている。 そうでなければ、素直に俺だって、あの人に従ったりしない。 反発だってするし? ただ、上の者には逆らえない…などという単純なものでなく。 あの人のすごさを知ってるがゆえだ。 ただ。 プライベートは別だろう? あの人は来る者拒まずだ。 そりゃあ、自分を好いてくれる人に、適当な態度はとれないだろうし。 八方美人…なんだろうか。 人がいいから断れない…という言い方も出来るが。 エドにとっては、ストレスの原因だろう。 疲れるだろうに。 言い訳から始まる会話がすぐにでも想像できそうだ。 「ハボック少尉は、付き合ってる人とか、いたりするんですか」 ふいにそう聞かれ、少し前のことを思い出す。 「いや。大佐のおかげで、別れましたよ」 「大佐の…?」 「そ。中央に来て、遠距離になるわけだし。まぁ距離の問題でなく、彼女よりも仕事を取ったっつーのが、嫌みたいでね。そこら辺からもう行き違いで」 「…そうだったんですか…」 「アルフォンスは、誰か気に入った人とか…」 話の流れでついそう聞いてしまう。 だけれど、言った後、聞かないでいるべきだったと思い直した。 たとえば、気に入った人がいたとして。 だからって、この体では…。 同情してしまう。 体のことを、意識させたくないのに。 それでも、謝ったりするのは余計に、うっとおしい行為なのだろう。 「いますよ」 意外にも、元気よくそう答えてくれる。 「さっき言ったように…ハボック少尉は、親近感湧くし…僕にとって気になっている人ですよ」 あぁ。そういうこと。 「ありがとな」 彼女と別れた俺の話を聞いて、慰めてくれてるように聞こえたから、俺も、軽い感じにお礼を言った。 「少尉…。気になってるってのは、好きって…。そういう意味ですよ」 「………はい…?」 好きって? そりゃ、俺も初めは、そう言う意味で聞いたけれど。 自分がそう言われるとなると、戸惑ってしまう。 「…いや、そんなに気ぃ使わなくっていいから」 「気を使ってそんな事、言わないですよ。そんな失礼なこと、しないし。ホントの気持ちだから…」 表情が読み取れなくて。 よくわからない。 俺だけが一人焦ってて。 もちろん、焦りを顔に出さないようにはしているけれど。 どう答えればいいのかわからなかった。 「…僕じゃ駄目…ですか…?」 切なさの感じられる声で、そんな風に。 駄目なんて言えるわけがない。 「駄目とか、そういうんじゃなくて…」 大佐とエドワードのことを理解している俺とアルフォンスの間で『男同士だから』という言い訳は出来そうにない。 そう思って、言い訳を考えている自分に気がついた。 俺はどうして断ろうとしてるんだっけ…。 この子の体がないから…? なんて。 そんなのは理由にするべきところじゃない。 妙に感情が昂ぶっていく。 こんな風に好きとか言われたのは何年ぶりだろう。 「…体が…ないから…?」 心を見透かされたような感覚。 ものすごい緊張が走った。 決してそんなこと、思っちゃいない。 そうは思うけれど、心のどこか奥では意識していることだった。 アルフォンス自身が一番不安に感じるところでもあるのだろう。 「そういうんじゃないよ…」 なんか。 断るに断れなくて困ってるって。 そういった態度を取ってしまってるのが、自分でもわかる。 「体はないけれど、心はこうやって残ってるし。…人を好きだって思う気持ちは他の人と変わりないのにな…」 心が痛む。 そんな感覚を覚えた。 「……別に…俺は…。他の人と変わりなく、見ているよ」 しゃべっていると、ずいぶんと子供らしかったり。 普通の子なんだなって、思う。 外見じゃ判断できそうにないことだけれど。 「……嬉しいけれど…同情なんじゃないかなって、思っちゃうから…」 「そんなマイナス思考に考えるなって。……すごい…伝わるから…」 アルフォンスの気持ちが流れ込んでくる。 「嬉しいな…。だけど、他の人と一緒じゃなくて…もっと、求めてもいい…?」 ガシャン…って。 鎧の動く音がした。 それを確認する余裕もなく、隣に座り込んだアルフォンスが、俺の体を押し倒していた。 「……っ…アル…?」 「駄目…?」 そう言う聞き方はずるいと思う。 駄目だなんて、言えるわけがない。 アルフォンスは俺の服の中へと手を滑り込ませる。 鎧のその感覚に体がビクついてしまっていた。 「…冷たい…?」 「っん…」 あまり、他の人と違うんだって、意識はさせたくなかった。 だからって嘘もつきたくない。 「いい…から…」 「なに?」 「冷たいけど…嫌じゃない」 他の人と違う体で。 それがデメリットになるような。 そういった考えにはさせたくないから。 「そういうこと言ってくれると、図に乗りますよ」 少し楽しそうにそう言って。 そう。 この子がそうやって元気だと、俺もホっとする。 顔がほころんでしまうのが自分でもわかった。 「全部…教えて欲しいです」 アルフォンスの声が静かに響いた。 手が器用に俺のズボンのホックを外しジッパーを下ろして。 「っちょっ…っと…」 軽いじゃれ合いのレベルじゃないんだと、思い知る。 手が。 下着の中に入り込んで。 「っくっ…ンっ」 冷たい。 体が大きく跳ね上がった。 「どんな感じ…ですか…?」 ゆっくりと、アルフォンスの手が上下に動かされ、俺のを擦っていく。 「はぁっ…あ…っンぅっ」 「気持ち…いい…?」 答えざる得ないような。 そんな感覚だった。 羞恥心はあるけれど、この子を傷つけたくないし。 望むようにしてやりたいから。 「っ…いい…よ…」 「よかった」 アルフォンスがいったん、俺の下着から手を抜いて。 その後、俺の体から、ズボンと下着を引き抜いた。 「っっアルっ」 「あんまり大きい声出すと、兄さんに気づかれちゃうから…」 そう言うと、俺の体を起こして後ろから抱く。 目の前にエドワードのベッドがあった。 場所を変えたい…と言えば、なにやらやる気十分なのが恥ずかしくて。 どうにもいい言葉が思いつかない。 俺の頭が混乱している間にも、アルフォンスは前に手を回し、すでに勃ち上がってしまっている俺のモノをそっと握りこんだ。 「っアっ…んぅうっ」 「大丈夫…?」 俺を気遣いながら、その手が上下に動かされていく。 「っぁあっンっ…くっ…んぅっ」 冷たい感覚がだんだん薄れていった。 ただ、気持ちよくて。 体中が熱くなっていく。 「あっ…はぁあっ…アル…っんっ」 「後ろ…指、入れていい…?」 耳元でそう聞かれ、一瞬、体が強張った。 「……ん…」 俺はそっと頷く。 「濡らして貰ってもいい…?」 そう言って、空いている手を俺の目の前に差し出す。 俺はその手を取って、指先を舌で舐めあげた。 その最中も、アルフォンスの片手は俺のモノを握り締めたまま。 何度も愛撫を送りこんでくれる。 「っんぅっ…はぁっ…アルっぁあっ…」 「すごい…いやらしくて…かわいいです…」 足を自分から開けてしまっているのがわかる。 自分でもいやらしいと感じるような音を立てて、アルフォンスの指に舌を絡めて。 これが、入っていくと。 そう考えると、また、体の熱が上昇するようだった。 「そろそろ…いいかな…」 アルフォンスの言葉に合わせて、俺は舌をその指から離す。 体が妙に熱くなっているのが、バレないで済むと思うと、少しだけホっとするような感じもした。 「足、少しだけ閉じてくれますか」 言う通りに、開きがちだった足を、そっと閉じてみる。 すると、今まで俺のモノを愛撫していた方のアルフォンスの腕が、俺の両方の膝裏にまわされる。 「な……」 そのまま、俺がなにも言えないでいると、まとめて抱え上げられてしまい、ものすごく恥ずかしい体勢をとらざる得なかった。 さすがに、羞恥心が高まる。 「あまり、暴れないように…お願いします」 そう言われてはなにか、言い返したりすることも出来ない。 そのままの体勢で、アルフォンスは俺がさっきまで舐めていた指先で、そっと奥の秘部を撫でた。 「っんっ…ぁく…っ」 冷たくて、硬いアルフォンスの指先が、ゆっくりと中へと。 まるで壊れ物でも扱うようにそっと。 警戒しながら入り込んでくる。 「ひぁっあっ…んぅうっ」 足を抱え上げられたまま。 俺は、アルフォンスの腕に自分の手を絡める。 「はぁっ…アル…っンっ」 どんどんと奥の方まで入り込んでいくたびに、体がビクビクと震え上がった。 「動かしてもいい?」 わざわざ俺にそう聞いて。 頷く俺を確認してか、入り込んだ指先がそっと抜き差しされる。 「っぁあっ…やっやぁっ…アルっ」 味わったことのない刺激が、体中を駆け巡っていくようだった。 アルフォンスの硬くて太めの指先が。 俺の中を何度も出入りする。 「あぁっはぁっ…んぅっ…アっんっ」 「かわいい声…。でも、兄さん起きちゃうかもしれないから、少しだけ、抑えてくれますか…?」 正直、エドワードの存在を忘れかけていた。 目の前にいる。 今、目を覚まして、こっちを見られたら、指が入り込んでいるいやらしい部分が丸見え状態。 「んっっんぅっ」 俺は必死で、声を殺そうと、手で口を抑えた。 「でも、あまりがんばりすぎないでくださいね」 俺に気を使ってるのか、そう言って、アルフォンスは指の動きを少し速めた。 「ンぅっ! ぁっあっんーっ…」 「ココ、感じます…?」 俺の敏感な箇所を探り当て、何度もソコを狙って突かれると、手で口をふさいでいられなくなる。 呼吸困難に陥りそうで。 指を動かされるたびに、いやらしい音が耳をついた。 「はぁっンっ…アルっ…あっ声っ…」 「なに…?」 「声っ…出るっからぁっ…」 「…やめちゃって、いいの…?」 いまさら、やめれる状態ではない。 体が何度もビクついた。 「ぁっあんんっ…」 「兄さんに見られてもかまわないってハボック少尉が思うなら、僕はかまいませんよ」 こんなの。 見られたら恥ずかしいに決まってる。 俺はそっと、首を横に振った。 「そっか…。じゃあやっぱりもう少し声、落としてもらわないと…ね…」 そうは言うけれど、台詞とは比例せず、中の指が掻き回すように動き回る。 「ぁっんーっんっあっ…やめっ…ぁっ…はぁンっ」 「もしかして…見られそうとか思うと、余計に感じちゃったりします…?」 そう指摘されて、一気に顔が熱くなる。 「っ違っ…ぁっあっ…」 「違わないですよね…。兄さんのこと、意識しだしてから、すごい感じてるみたい…」 「っあっ…違っ…んっやっ…アルっやめっ…」 「兄さん、起きちゃうかな…」 羞恥心を煽られて、余計に感じてしまうようなのが自分でもわかるから、なおさらおかしくなりそうで。 そのときだった。 仰向け状態で眠っていたエドワードの体がこちらを向く。 「ンぅっ…」 必死で声を抑えて。 エドワードの目が瞑っていることを余裕がないながらも確認する。 「…起きちゃったのかと、思った…。でも、眠り、浅くなっちゃったかな…」 呟くようにそう言って。 「んっあっ…アルっ…もぉ、イくっ」 「…兄さんが起きる前に済ませたいとか…?」 「っ違っ」 そりゃ、起きられたら困るけれど。 だけれど、そんなのとは関係なく、もう我慢の限界だった。 「少尉…。今、僕としてるんですよ…。もっと、僕のこと、考えて…。兄さんじゃなくて」 そうは言われても。 エドワードを意識させたのはアルフォンス自身だろう? 少し矛盾するような言い分。 それでも、アルフォンスの気持ちは伝わってくる。 こういった行為を味わいたいのと。 精神的に俺を求めてくれるのが、すごく嬉しくて。 もう一度、アルフォンスの腕をギュっと掴んだ。 「…少尉…かわいいです…。いいですよ。イって…?」 こんなこと子供にされて、いやらしい声を洩らして。 もし、アルフォンスが普通の子供の姿だったならば、こんなに素直に受け入れることはなかっただろう。 この姿だからこそ、気持ちがものすごく伝わってくる気がした。 「はぁっぁっ…んっアルっんぅっ…ぁんっンっんーーーっ」 体中が熱くなって。 アルフォンスに足を抱え上げられたまま、欲望を弾け出してしまう。 「あ……はぁ…っ」 ぐったりとした状態の俺の体をギュっと抱きしめてくれる。 その鎧の腕が。 なんだか、暖かい物に感じられていた。 「ね…。僕だって、ハボック少尉のこと、気持ちよくさせれるんですよ」 この子の基準はそこなのだろうか。 俺のこと、考えてくれている。 「ん…」 「本当に、好き…なんです…。ハボック少尉は、ただ、子供の言うことに適当に付き合ってくれただけかもしれないけれどっ」 そんなつもりはない。 外見が、わからないせいかもしれないけれど、子供だという意識が薄れていた。 実際、すごく大人な考え方をする。 と思えば、素直な子供らしい部分もあって。 ものすごく、かわいらしく思えた。 「……適当に付き合ったりしてるわけじゃないって。……同情であんなこと出来るくらいイイ人ってわけでもないし。その気がなかったら、ちゃんと断ってる」 こんな行為。 流れでしちゃうとか同情だとか。 そんな風に、軽々しくするわけじゃない。 「じゃあっ」 「わかるかな…。その気があるからって」 あぁ。 自分でも思う。 こんなこと、簡単に出来るような人間じゃない。 アルフォンスは俺にとって、そういうことの出来る相手なんだ。 「…早く…体、戻るといいな…」 「ごめんなさい…僕、体ないから…」 「謝ることじゃない。そうじゃなくて…。やっぱり、アルにも気持ちよくなって欲しいだろ」 自分で言ってて、恥ずかしくなるような台詞だった。 それでも、アルフォンスは素直に聞き入れてくれる。 「…ありがとう…ございます…」 「いえいえ」 「体…戻ったら…その……キス、してくれますか…?」 少し戸惑うように。 恥ずかしげに、俺に言う。 こんだけの行為をしておいて、いまさら照れることでもないだろうに。 それでも今の俺らには出来ないことだから。 「…ん…。しようか…」 俺は、にっこり笑顔を作って、アルフォンスに約束した。 ずっと、待っているから。 いつかくるその日まで。 |