『熱』




「はぁ……」
 体が熱い。
 夜になると特に意識する。
 
 初めはなんとなく風邪なのかなって思ってたんだけど。
 少し違う。
 いつもより練習量が多くなったせいだろうか。

 そんなことを考え、大したことはないと不安を打ち消していたが、数日続くと、さすがにこれは、エイリア石のせいなんじゃないかって。

 自分の体には合っていないのだろうか。
 拒否反応?
 弱い自分が、せめてもの救いと手を出したエイリア石。
 それさえも順応出来ないなんて。
 
 最悪だ。
 俺だけなのかな。

 ひとまず夜風に当たろうと、学校のグランドへと向かうと、そこには先に染岡が立っていた。
「染岡? こんな夜にどうしたんだ?」
「風丸か。それを言うならお前もだろ」
「俺はちょっと。……夜風にでも当たろうかなって」
「ま、俺もそんなところだ」

 染岡も、熱かったりするんだろうか。
「あのさ……。エイリア石のことなんだけど。俺……もしかしたら合ってないのかも」
「なんでそう思うんだよ。事実、お前の実力は上がってるだろ」
「そうなんだけどっ……。そりゃあサッカーやってるときはなんてことないよ。けど夜とか、体が熱くて」
 染岡は、俺の体をジっと見て、息を吐く。
「……しょうがないんじゃねぇの?」
「どういう……っ。それくらいの副作用は覚悟しろってこと?」
「そうじゃねぇよ。副作用っていうか、筋力以外にもいろいろ影響あんだろ。俺だって、熱くて毎晩抜いてるしっ」
「抜い……っ?」
 思いがけない染岡の言葉に、一瞬体が固まってしまう。
 抜くって。
 
「俺っ……」
 熱いのって。
 これ、溜まってるからなのか?
 
「あ、染岡、悪い。熱い理由がわからなかったから。みっともない相談をしてしまって」
「いや……いいけど。俺だって、自分だけがこうなのか少し気になってたし」
 みんななのか、俺と染岡だけなのか、たぶん個人差はあるんだろうけれど。
 とりあえず自分だけじゃないことにほっとする。
「つまり、性欲が異常に高まってるってことか?」
「だろうな。極度に心配することじゃねぇだろ」
 
 いままで、理解していなかった熱の原因が分かると、安心と同時に意識する。
 
 お互い、今、性欲高いですって言い合ったようなもんで、妙に気まずい空間。
 恥ずかしいのに一度意識してしまった体はもう取り返しが付かない状態になっていた。  

「染岡……いつも部屋で?」
「まあ……風丸もだろ」
「そんなに……してないけど」
 こんな会話、拡げてもしょうがないのに。
 つい、染岡の下半身へと視線が向かってしまう。

 ジャージズボンの下で、すでに硬くなっているであろうモノが見てわかる。
「別に、いやらしいこと考えてるとかじゃねーから。ほら、不可抗力っつーか」
 俺の視線に気付いてかそう言うと、染岡の視線もまた、俺の体に突き刺さった。
 自分も見てしまったのだし、俺だけ怒るわけにもいかない。
 
 それに、染岡の言う通り、不可抗力だ。
 エイリア石のせい。

「染岡……」
「んな声で呼ぶなよ。変な気分になるだろ」
「なんだよ、それ……」

 自分の声が酷く熱っぽいのに気付く。
 しかも、これは風邪でもなんでもない。
 いやらしい声だというのは、染岡も気付いているだろう。

 恥ずかしいのに、染岡の手が俺の下半身に伸びるのを止める気になれなかった。

「ん……っ」
 ズボンの上から、形を確認するみたくギュっと掴まれ、俺は染岡の肩に手を置き体を支える。
「……とりあえず抜いてやるよ」
 そう言ってくれ、少し擦られると布越しだというのにものすごく気持ちがよかった。
「んっ! ぅんっ!! ぁ…あっ」
「ズボン、下ろすぞ」
「ん…っ」
 染岡に、ズボンと下着を下ろされて、直接掴みあげられる。
 初めてだ。
 こんな風に人の手で。
「あっ…んっ!」
「……お前、そんな屈まれたら掴めねぇって」
 つい前のめりになってしまう俺にそう言うと、いったん手を離し、後ろ側から強く抱きしめてくれる。
 左腕で俺の体を支えて、右手でまた俺のモノを掴んで。
「んっ! ぅんっ、染岡っ…ぁっ」
 あまりの刺激に、つい染岡の腕に爪を立ててしまった。
 それでも、染岡は擦り続けてくれて、俺もまた自然と腰が揺れてしまう。
 密着する染岡の体。
 自分の尻辺りに染岡の硬くなっているモノがあたる。
 少し荒い染岡の息遣いも、いやらしくて。
 染岡、興奮してるんだよな。
 俺を見て、興奮してるってこと?

 初めから熱かった体がもっと熱を帯びていく。
「染岡ぁっあっ…ぃく…っ」
「ああ……。いいよ、そのまま」
「んっ! あっ…んぅっ…あっ…んぅんんっ!!!」

 染岡の手でイってしまうと、膝が崩れかけるが、それを染岡が支えてくれていた。
 最後の最後まで、搾り出されて、俺の頭はボーっとしてしまう。

 それでも、染岡のが後ろから押し付けられる感触に、また体が熱を帯びる。
 俺は手を後ろに回し、染岡のモノに触れた。

「っ……風丸」
「……俺も、するよ」
「ん……」


 熱が冷めたら。
 なんでこんなことしたんだろうって、後悔するかもしれないな。
 
 ……けど、いつ、熱は冷めるのだろう。
 いつかは、開放されるのかな。
 強さを求める限り、無理な話なのかもしれないけれど。
 しょうがないじゃないか。
 俺たちは、強くないんだから。

 とりあえず今はもう、このまま流されてしまいたい。
 
 すべてエイリア石のせいにして。