『キライ。』




 好きの反対は嫌いではなく無関心だって。
 テレビで聞いたことがある。

 
 元々、好きという自覚はなかったが、無関心というわけでもない。
 嫌いに近い感情を抱いていて。
 むかついて、気になって仕方なくて。
 いつしか、毎日、バーンのことを考えるようになってしまっていた。
 
 きっとこれは、関心がありすぎるんじゃないかって。
 無関心の反対が好きであるのならば、もしかしたら自分の感情も……そう思ったが、考えることを放棄した。

 そもそもなにがむかつくかって。
 もはやなにもかもがむかついてしょうがないというレベルだ。
 バーンがサッカーをしていても、他のチームメイトとしゃべっていても、なぜかイラっとしてしまう。  

 私には全然しゃべりかけないくせに。
 
 ……みっともない嫉妬だ。
 わかっている。  
 こちらから用も無いのにしゃべりかけるわけにはいかないし。
 向こうも私には用がないのだろう。

 ただ日々、イライラが募っていく。
「ガゼル、あいかわらずお前、不機嫌そうだな」
 久しぶりに話しかけられたと思えばこれだ。
「……誰のせいだと思ってる」
「知らねぇよ。俺のせいとか言うなよ」
 お前のせいだ。
 チームメイトに笑顔で接するバーンを、幾度となく見てきた。
 私には、そんな顔を見せることなどないくせに。  
 すれ違っているのもわかっている。
 自分がイラついているから、バーンだって声をかけにくいのだろう?
 そうは思っても、見ていて腹が立つ。
 そんな私に、話しかけるとして、いい内容なはずがない。
 だからまた、イラつきが増す。
 悪循環。

「……いずれ解るときが来るかもしれないな」
 万が一にも、想いが通じればの話だ。
 ありえなさそうでつい笑ってしまう。
「いちいちその上から目線なのむかつくし」
 毎回毎回。
 たまに話をすればこうなるということはわかっているのだろう?
 なんで話しかけてくる?  

 お互い、イラつくというのに。
 ……私に、関心があるから?

「……一番、むかつくか?」
「はあ? とりあえず今現在は、一番むかつくけど」
 このまま、もっとむかつけばいい。
「一番……か」
 誰よりも、むかついて、関心を持って。
バーンにとっての私が、関心のあり過ぎる存在になってしまえばいい。

 無関心の反対は好きということ。
 関心があり過ぎるということがどういうことか。
 私は身をもって知っている。

 そう。このまま、好きになってしまえばいい。